春・・・咲き誇る桜の季節
そんな桜に目もくれず、会社へと急いでいた。
これから始まる運命も知らずに・・・
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2-1 一目惚れ・・・・・・威圧と罵声が唯一の部下掌握術
「ふざけんな! 仕事をナメるなっっ!
仕事取ってくるまで帰ってくるんじゃねぇ!」
ピョンサプローは、新人研修会場の会議室に向かう途中、
営業部からの罵声を聞いた。
今どき、そんなこと言うヤツがまだいるんだ・・・
そんなことを考えながら前を見ると、一緒に研修を受けている
2人の女性が話しながら歩いていた。
「ねえ、ピョン子、今の聞いた?」
「聞いたわ」
今どき、威圧と罵声が唯一の部下掌握術だと考えている人もまだいるのね
ピョンサブローは池井戸潤の「七つの会議」を思い出した。
そもそも、甘言を弄して相手を懐柔するという選択肢は、北川にはない。威圧と罵声こそ、北川が唯一持ち合わせた部下掌握術だ。
池井戸潤「七つの会議」
実存するんだ・・・威圧と罵声が唯一の部下掌握術の人って・・・
そして、同時に全く別のことも思った。
ピョン子って人、なんて素敵なんだ。ルックス、話しぶり、にじみ出る知的センス・・・
ストライクゾーンど真ん中って、こんな事を言うんだ・・
2-2 自分・・・・・・変えるためにはまず自分が変わらなければならない
今日の研修もグループミーティング。やった、今日はピョン子と同じ班だ。
今日の課題は「お客様のクレーム対策」
お客様からクレームが来たら、どう対処するべきかと
いうテーマ学習だ。
ピョンサブローは話した。
「昨日読んだ池井戸潤先生の「七つの会議」という小説で
第3話の優衣さんという人がこんなことを言っていたんだ。
変えるためにはまず自分が変わらなければならない。
池井戸潤「七つの会議」
彼女は会社を辞めるかどうか、人生の生き方で悩んでいた。
でも、変えるためにはまず自分が変わらなければならないって
認識して生きていくんだ。優衣さんのこの生き方、素敵じゃないか?
クレーマーに対しても、まず自分が変わらなければならないんじゃないか?」
2人の熱い視線、ピョンサブローは感じた。
1人はヘビオ。
もう1人は・・・なんと、ピョン子だった・・・
2人の熱い視線の意味は、同じ? それとも・・・
2-3 初めての会話・・・虚飾の繁栄、真実の清貧
待って!
今日も研修が終わった所で呼び止められた。
ピョン子だった。
「さっきの本の話だけど、とても面白かった。私も読んでみようと思う」
「そうだね、オススメだね。2019年には映画化され、今ではDVDにも
なっているから、動画から入るのもいいんじゃないかな」
「そうなの、確かにそっちの方が私にはいいかナ?」
話は弾んだ。
「ところで、ピョンサブローさんは朝の営業部での怒鳴り合い聞いた?」
「ああ、ちょうど聞いた」
「こんな会社に入ったと思ったら、幻滅したわ」
「そうだね・・・さっきの「七つの会議」最後はこんなシーンがある。
虚飾の繁栄か、真実の清貧か--。強度偽装に気付いたとき、八角が選んだのは後者だった。
池井戸潤「七つの会議」
主人公の八角は強度偽装に気づいた時、虚飾の繁栄よりも真実の清貧を選択した。
オレたちは、どっちを選ぶべきなんだろう」
ピョン子は、遠くを見つめて何も言わなかった。
その視線の先には、朝は咲き誇っていたが、夕方にはもう風に散っていく桜が・・・・・・
・・・・・・当然、次回に続く
まとめ 「七つの会議」
1. 威圧と罵声が唯一の部下掌握術:そんな人もいる
2.変えるためにはまず自分が変わらなければならない。
3.虚飾の真実、真実の清貧・・・・・・どっちがいい?
・「七つの会議」は、ありふれた中堅メーカーで繰り広げられるクライム小説。不祥事に巻き込まれる社員達の群像劇。あらすじは・・・あえて書きません。
・2019年に映画化、そしてその後DVD等発売。ピョン子のように、こっちから入るのもアリかも?
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朝方咲き誇っていた桜、もう既に散りかかっていた。
始まりの美?
それとも、滅びの美・・・・・・
1-2-2話 終了/1-3-3話に続く
*2022年2月12日 初掲載