【池井戸潤おすすめ】3/空飛ぶタイヤ/1-3-3話

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通勤途中、霊園の横を通った。

藤の花が満開

紫色の藤棚、はかなくも残酷な程の美しさ

万葉集にも載っているというこの藤の花。
高貴な、紫色。

花言葉は、「至福の時」あるいは「恋に酔う」だと言うそうだ。

ピョンサブローは、美しさを横目で見ながらも会社に急いでいた。そう、この残忍な程の美しさも気にも留めずに。

目次

3-1 変化への序章・・・誰かが言わなきゃ動かない。

今日の新人研修、班が変わった。隣には、別の班で
キラリとした発言が目立っていたヤツが来た。

カメキチ
カメキチ

僕はカメキチ。よろしく

ピョンサブロー
ピョンサブロー

僕はピョンサブロー。こちらこそよろしく。

ピョンサブローには、その時不思議な予感、そしてなぜか
安堵感がよぎってきたのだった。

グループセッション。
テーマは「現状改革」。
当然意見の食い違いが出る。

カメキチは言った。

どんな組織だって、誰かが言わなきゃ動かない。
僕達が声を上げることが大事なんだ。

言わない限り、感情は伝わらない。

言わない限り、変わらない。
言わない限り、現状は変わらないんだっ!


黙っているだけで思いが通じる、あるいは考えを
読み取ってくれる・・・そんなモン、そいつの
エゴにすぎない!」

ピョンサブローは池井戸潤「空飛ぶタイヤ」に同じシーンがあることを思い出していた。

どんな組織だって、誰かがいわなきゃ動かない。みんなが、〝自分ひとり頑張ったところで〟って諦めてるから動かないだけよ。もし、そんなことがあるのなら、あなたがそれをいうべきなんじゃないの」

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」

ホープ自動車勤務の沢田の妻、英里子の言葉に
同じ言葉があったな。音楽サークルで知り合った
英里子は、もともとかなりの論客だった。
ミーティングや飲み会、議論では必ずその場を
リードしていた。今では地方FM局のパーソナリティ
をしている。物語では脇役だが、魅力的な女性だ。
そう、英里子が亭主の沢田を「誰かが言わなきゃ」と
励ますシーンがあったな・・・

3-2 会社員にも、草食動物と肉食動物がいる。

今日のグループセッションは白熱していた。
若さゆえ、いや若いからこそ議論に熱が入っていた。

ピョンサブローも発言した。

池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」にこんなことが書いてあった。

会社という組織において、政治的に動く術を知らぬ者は皆、草食動物だ。

池井戸潤「空飛ぶタイヤ」


そう、会社という組織において、政治的に動く術を知らぬものは皆、
草食動物なんだ。
ただ、肉食動物に食べられるのを恐れて
生きているだけなんだ。言い方を変えれば、「何も考えないで
現状維持で生きているだけ」なんだ。

考えよう。現状変革を。
行動しよう。こんな古臭い生ぬるい現実を変えよう。
そして僕達は草食動物にとどまらず、肉食動物になるんだ。

今日は熱い目が3人。
ピョン子、ヘビオ、そして・・・カメキチだった。

3-3 過去は変えられない。未来を変えよ!

カメキチ
カメキチ

待って!

今日も呼び止められた。帰りがけに呼び止められるって、
こんなことが多いなぁ。

ピョンサブロー
ピョンサブロー

なんだい?

カメキチ
カメキチ

どうだい、軽く呑まないか?

---2時間経過---

意気投合した2人。

ピョンサブローもカメキチも、赤羽の立呑みで
ベロベロになっていた。

カメキチ
カメキチ

ちくしょう! やってらんねーよ!!!

ピョンサブロー
ピョンサブロー

結構酒癖、悪いのかな・・・でも憎めないヤツだ

「ピョンサブロー、俺も「空飛ぶタイヤ」読むぞ!」

「おお、読んでくれ!こんなことも書いてあった。

過去は変えられない。だったら未来を変えていくしかない。
もうこれ以上、あのホープ自動車という会社に人生をかき回されたく
ありません。(中略)私には他にすべきことがあると思うんです。

「空池井戸潤「空飛ぶタイヤ」

オレ達も、未来を変えるしかないんだ!

「そうだ、これからはオレ達の時代だ!」

赤羽の夜は、誰にも平等に更けていった・・・・・・当然、次回に続く

お酒は「適度」にね! 「過度」は絶対にダメだよぉ!少々のお酒は、コミュニケーションには適切でしょう。でも「過度」は絶対にダメ!!!

まとめ 「空飛ぶタイヤ」

3行革命(Reading Point=跳ぶPoint)

1. どんな組織だって、誰かが言わなきゃ動かない
2.会社という組織において、政治的に動く術を知らぬものは皆、草食動物
3.過去は変えられない。だったら未来を変えていくしかない

・「空飛ぶタイヤ」は中小運送会社「赤松運送」を経営する主人公・赤松徳郎が、自分の会社の「ホープ自動車」製トラックが交通事故を起こしたことから、「ホープ自動車」との戦いを描く社会派小説。あらすじは・・・あえて書きません。

・2009年にはwowowでドラマ化

・2018年には映画化。主演は長瀬智也さん。映像から入るのもいいかも?

藤棚に咲き誇る、高貴な紫の藤の花
満開は過ぎたが、散り際も美しい。

紫色の夢。

はかなさ、そして現実逃避。

それとも、未来の姿?

1-3-3話終了/1-4-4話に続く

*2022年2月20日初掲載

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