朝だ。今日の始まりだ。
出社する通り道、近所の家先でアサガオを見た。
自分を鼓舞している、その美しさ。
ピョンサブローはそれを見てなぜか安心した。
そう、その姿こそ・・・でも現実は・・・
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９－① 従うより、逆らうほうがずっと難しい
朝、ピョンサブローが出社すると課長に呼ばれた。
何でしょうか？
「営業部からのクレームだ。君が営業部に提出した提案書の数値が、ことごとく現実から乖離していたらしい」
そ、そんなはずは・・・
「私も君に限ってそんなことはないと思っていた。だが、事実は事実だ。幸い、営業部のヘビオ君のおかげで先方の怒りも収まったとのことだ。ピョンサブロー君、反省したまえ！」
すみませんでした・・・(納得いかないけど・・・)
自分に戻ったピョンサブローは、提出した提案書を再確認した。
何度確認しても、数値の違いがわからない。納得できない。
そこへ顔を出したのは、情報通のカメキチ。
よぉ、元気か！ 失敗したんだって？
さすが情報通。コイツには隠せないなぁ・・・
ちょっと相談がある・・・
ピョンサブローは、人がいない場所へカメキチを誘った。
そして現状を話し、納得できないことを話した。
カメキチは話した。
「池井戸潤の『銀翼のイカロス(半沢直樹４)』に、こんなことが書いてある。
従うより、逆らうほうがずっと難しい。
池井戸潤の『銀翼のイカロス(半沢直樹４)』
ピョンサブロー、従ってばかりじゃダメだ。
逆らうことは従うよりもずっと難しい。当たり前のようだけど、時にはやらなくてはならない時もある。」
うなずくピョンサブローだった。
９－② 情報の優劣が物事の勝敗を決する場面は少なくない
ピョンサブロー、このまま黙って泣き寝入りするつもりかい？
まさかまさか！黙ってられるわけねーだろ！
さすが、ピョンサブローだね。池井戸潤の『銀翼のイカロス(半沢直樹４)』に、こんなことが書いてある。
銀行において、情報の優劣が物事の勝敗を決する場面は少なくない
池井戸潤の『銀翼のイカロス(半沢直樹４)』
「ピョンサブロー、これは銀行だけの世界の話ではないんだ。こういう時こそ、情報の優劣が勝敗を決するんだぜ！」
「そうだな、徹底的に調べたる！・・・でもどうやって調べればいいんだろ・・・」
ビョンサブロー、今宵オレに付き合え！
また、赤羽の立ち呑みかい？ 本当、好きだよね・・・
そんなんじゃねーよ！今宵、黙ってオレについてこい！
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というわけで、この夜の草木も眠る丑三つ時。会社には２人の姿があった。
「ヘビオの席はここだったな。よし、パソコンを開いてみよう」
「おいカメキチ、こんなことして犯罪じゃないのか・・・」
「バカヤロー！情報の優劣を決する場合、時には手段なんか選んでられるか！」
「でもさぁ、パスワードとかが掛かってるんじゃないのか?」
「ピョンサブローよ、カメキチ様を舐めてもらっちゃぁ困るなぁ。人呼んで「スーパーハッカー・カメキチ」と呼ばれて恐れられていたこともあるんだぜ」
こいつ、何者? でも、敵にはしたくないなぁ・・・
そして瞬く間にヘビオのパソコンを、難なく開いたカメキチだった。
＝筆者より＝
当然、犯罪行為です！人のPC、勝手にあけてはダメです！
よい子のみんなは、絶対マネしないでね・・・
「ピョンサブロー、この２つのファイルを見てみろ。１つはお前の提出した日のデータ。もう１つはその後の日付のデータだ。アイツは粘着質だから几帳面だろうと思っていたら、ドンピシャだ」
「これって・・・」
顔を見合わせる２人だった。
９－③ 知恵の有る者は生き残り、無い者は去っていく
その翌朝
ヘビオ、ちょっと屋上へ顔貸しな！
何だよぉ、朝は忙しいんだ
いいのか、テメーの悪事をここで全部暴いてやってもいいんだぜ！
３人揃って、屋上へ向かった。
それを見かけたのがピョン子。
あら、あの３人って仲良しなのね･･････
ピョン子･･････あれは「仲良し」じゃないと思うよ･･････
ヘビオよぉ、この写真を見てみな！
昨夜スマホで撮影した、ヘビオのパソコンの画像写真を見せた。
こ、これは・・・・・・
どう、言い訳するんだ！！！
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よくよく聞いてみると、仕事欲しさにクライアントに都合のいいデータに数値を改ざんしたらしい。
でも提出後に、それがバレてしまったのが今回の騒動の発端。
何とか得意先は丸め込んだが、社内的責任をピョンサブローに押し付けようとしたらしい・・・
申し訳なかった・・・これは「貸し」にしておいてやる！
そう言い残し、フロアに走って帰って行ったヘビオ。
何が「貸し」なんだか・・・相変わらず、言ってることがわかんねぇ・・・
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カメキチが言った。
「ピョンサブロー、池井戸潤の『銀翼のイカロス(半沢直樹４)』に、こんなことが書いてある。
銀行という組織を生き抜くのに最も必要なのは、学業で得た知識でもなければ学歴でもない。
知恵だ。
知恵の有る者は生き残り、無い者は去っていく。
池井戸潤の『銀翼のイカロス(半沢直樹４)』
知恵がないと生き残れないんだ。生きる残るためには、知恵が不可欠なんだ！」
その頃、フロアに戻ったヘビオは・・・
失敗だったか・・・でも、このままで終わるヘビオ様じゃないぜ！
よし、次の一手だ！
本当に懲りないヤツ・・・
ヤツが言う「次の一手」とは・・・・・・当然、次回に続く
まとめ 「銀翼のイカロス 半沢直樹４」
① 従うより、逆らうほうがずっと難しい
② 情報の優劣が物事の勝敗を決する場面は少なくない
③ 知恵の有る者は生き残り、無い者は去っていく
・半沢直樹シリーズって、まだまだ続くそうです。現在(2022年４月現在)、「５」まで発行されてますが、もっともっと読みたいですよね。
・よく「現代の時代劇」だと半沢直樹シリーズは言われます。確かに、勧善懲悪的要素が強い作品です。でも、この作品の優れている所はそこではないです。「人生の真理」の描写が優れているのが、池井戸作品の最大の長所です。いろいろ学ぶことが多い作品だと思ってます。
・ドラマでも歴史的高視聴率を叩き出しました。次の作品、そしてドラマを心待ちにしてます。
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ピョンサブローの帰り道、もうアサガオの花は萎れていた。
もう、アサガオの一生は終わり？
いや、実をつけるという一番大事な仕事が残っているじゃないか！
ピョンサブローは、無情感や儚さと同時に希望も感じた。
でも・・・・・・
１-９-９話終了/１-10-10話に続く
*2022年４月10日初掲載