その日は雨。朝から雨。
その朝、ピョンサブローは初出勤の会社に急いでいた。
これから、起こる様々な事も知らずに・・・・・・
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1-1 出会い・・・・・・考えないヤツには用がない
彼の名前はピョンサブロー。大学を卒業し、今日が初出勤日。
あいにくの雨。何とか会社にたどり着き、エレベーターに飛び乗った。
痛!
イテーじゃねーか!
2人は同時にエレベーターに飛び乗り、ぶつかった。
ピョンサブローはそのヘビオの面構えを見て、思い出した。
昨夜読んだ、彼の大好きな池井戸潤先生の「アキラとあきら」だ。
考えない奴には用がない。(中略)たとえ失敗してもやりようはある。
(中略)自分に都合が悪い事を指摘されると怒り出す人もいる。
(池井戸潤「アキラとあきら」より)
理由はない。
彼にただただ、そう感じた。
そう、ヘビオの一目会ったその時、ただただそう感じたのだった。
1-2 初めての会話 ・・・・・・・・・・商売の基本
今日は出社1日目。配属前のしばらく研修が続く。
つまらない講師の講義が続き、マーケティング・グループセッションとなった。
同じ班となった顔ぶれの中に、ヤツがいた。
お前は・・・・・・・
お前は今朝の・・・・・・・
グループセッションの課題は「商売の基本」だ。皆、口々に勝手なことを言った。
ピョンサブローは発言した。
「昨夜、池井戸潤先生の「アキラとあきら」という小説を読んだんだ。その中でこんなことが書いてあったんだ。
商売の基本は簡単なことなんだ。どうすればお客さんに喜んでもらえるえるか --それを考えて提供すれば、喜んでお金を払ってくれるし、常連客にもなってくれる。
池井戸潤 「アキラとあきら」
商売の基本は簡単。どうすればお客さんに喜んでもらえるか。簡単だけど、とても難しいことだね。
これが基本中の基本じゃないのかな・・・」
うなずき同意する、同じ班のメンバー。
ただ1人、ヤツを除いて・・・・・・・もちろんヤツとは、ヘビオだった。
1-3 それから・・・・・・工夫ができなかったら負け
まだ研修なので、17時には本日の勤務終了。
まだ降り続く雨の中帰ろうとした所、声を掛けられた。
ちょっと、待ってくれ!
君は・・・・・・
声を掛けてきたのは、ヘビオだった。名前はグループセッションで知った。
君は池井戸潤のファンなのかい?
そうだけど・・・・・・
「『アキラとあきら』確かに名作だね。テレビドラマでもやったし、
2022年の夏には映画化するんだよね。」
「よく知っているんだね」
「こんな言葉もあった。」
でもね、商売である以上、工夫ができなかったら、それは負けを意味する。工夫というと遠まわしだが、要はお客さんが来てくれるかどうかだからね。そうやって自然淘汰されていくんだよ
池井戸潤 「アキラとあきら」
商売である以上、工夫ができなかったら負けを意味する。
商売の基本って確かに工夫が大事だね。
でも・・・・・・お前には絶対負けないからな!どんな手段を使っても、お前に勝ってみせる!」
オレ、何かしたかなぁ・・・・・・
敵意を抱いたのは、ピョンサブローだけではなかった。
以心伝心。憎しみは憎しみに繋がる・・・・・・当然、次回に続く
まとめ 「アキラとあきら」
1.考えないヤツには用がない
2.商売の基本=どうすればお客さんに喜んでもらえるか
3.工夫ができなかったら負け
・「アキラとあきら」は、零細工場の息子・山崎瑛(やまざきあきら)と、海運会社「東海郵船」長男・階堂彬(かいどうあきら)の物語。生まれは貧富の差が大きな2人。そんな2人の波乱万丈な人生の、ドラマティックな物語。あらすじは・・・あえて記載しません。壮大なドラマ、堪能下さい。
1冊として計算すると、約700ページの大作。でも700ページの読みごたえは抜群!
・2022年夏には映画化予定。楽しみですね。
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雨は相変わらず、降り続いていた。
止むこともなく、激しく降り続いていた。
「止むことのない雨はない」と言う。
でも、そんな言葉が信じられないぐらいに・・・・
1-1-1話 終了/1-2-2話に続く
*2022年2月2日 初掲載