梅雨が近づいていた。
雨が続く。
雨に濡れた紫陽花(あじさい)。
この美しさは人生の美しさか、
それとも儚さ(はかなさ)か・・・・・
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6-① 事実よりも、報告者に対する怒り
「どう、責任を取るんだっっ!」
フロアに部長の怒号が響く。
責任と言われても・・・
カメキチは上司の前に立たされ、罵倒されていた。
カメキチが担当しているニシキヘビ物産が不渡りを出し、倒産。
多額の負債がででしまったのだ。
「得意先に遊びに行っていたわけじゃないだろ!
日々訪れた時、どうしてよく社内環境を見てこなかったんだ!」
ピョンサブローは、それを聞きながら池井戸潤の「オレたちバブル入行組」の一節を思い出していた。
事実そのものより、それを報告してきた者に対して怒りをおぼえているような態度を浅野はとった。
池井戸潤「オレたちバブル入行組」
そう、報告者を憎んでも叱咤しても仕方ないのだ。
憎むべきは報告者ではない。
憎むべきは「得意先が倒産して多額の負債が生じた」事実なのだ。
ピョンサブローはそれを聞いて憤慨していた。
周囲はその様子を察したのだろう。うながされ、2人は別室へ行ってしまった。
夕方になった。気が付くと、カメキチがピョンサブローの席の横に立っていた。
ピョンサブロー、仕事済んだら赤羽行くぞっっ!立ち呑みだっっ!
了解!!!
今日はちょっと断れないよなぁ・・・・・・・
赤羽に行こうと仕事の最後の仕上げをしていると、横にヘビオが立っていた。
カメキチ、よろしくな・・・
・・・・・・
よく見てるじゃねーか・・・
6-② やられたらやり返す・・・・・・泣き寝入りはしない
やってられねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
今宵のカメキチは荒れていた・・・当たり前だけど
そうだ、呑んで忘れちまえ!
カメキチの目は完全に座っていた。でもなぜか、冷静さもあった。
「ピョンサブロー、池井戸潤の「オレたちバブル入行組」で、こんなこと書いてあること知っているよな・・・」
オレは基本的に性善説だ。相手が善意であり、好意をみせるのであれば、誠心誠意それにこたえる。だが、やられたらやり返す。泣き寝入りはしない。十倍返しだ。そして――潰す。
池井戸潤「オレたちバブル入行組」
「ピョンサブロー、オレは絶対泣き寝入りはしないぞ。やられたらやり返してやる。理不尽な言いがかりには絶対に負けるものか--そして、絶対潰す!」
カメキチの決意。目の当たりにし、うなずくピョンサブローだった・・・・・・
6-③ 夢を見続ける・・・・・・
ピョンサブローは、ベロベロのカメキチに言った。
「最近さ、思うんだ。池井戸潤の「オレたちバブル入行組」にこんなこと書いてあった。
夢を見続けるってのは、実は途轍もなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる。そういうことなんじゃないのか。
池井戸潤「オレたちバブル入行組」
現実は厳しい。でも途轍もなく難しいけど、夢を見続けたいね・・・」
おい、聞いてるか?
酒だ!酒!・・・店員のおねーさん、レモンサワーのメガサイズもう1杯!
しょうがねえなぁ・・・
酔っぱらっているけど、一瞬の真剣な「まなざし」のカメキチを見逃さなかったピョンサブローだった。
お酒は「適度」にね! 「過度」は絶対にダメだよぉ!少々のお酒は、コミュニケーションには適切でしょう。でも「過度」は絶対にダメ!!!
そんなピョンサブローに、ヘビオの魔の手が迫っていた。
「魔の手」とは・・・・・・当然、次回に続く
まとめ 「オレたちバブル入行組 半沢直樹1」
1.憎むべき事実よりも、報告者を憎むヤツもいる。
2.やられたら、やり返す。十倍返し。泣き寝入りはしない。
3.途轍もなく難しいけど、夢を見続けたい
・記念すべきシリーズ第1作。テレビドラマでも驚異的な視聴率でしたね。久々に、見たくなりました。
DVD買っちゃおうかなぁ・・・
・「単なる勧善懲悪モノだ」「人物描写が浅くて単純」なんていう批判もあります。でも、私はそう思いません。だってさ、小説なんて夢を見させてくれてナンボだと思うのですがね・・・
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紫陽花(あじさい)は、降り続く雨に 濡れ続けていた。
哀しげに?
いや、誇らしげに。
その美を鼓舞するように・・・・・・
1-6-6話終了/1-7-7話に続く
*2022年3月20日初掲載