「ノーサイド・ゲーム」・・・それはラグビー用語。野球で言うと「ゲームセット」。試合終了の瞬間を指します。
ただし、単なる試合終了というだけではありません。「ノーサイド・ゲームの精神」として試合終了後には、敵味方の区別なく称え合う精神がラグビーでは美徳とされます。
「ノーサイド・ケーム」の人生における意味とは・・・それを描いたのが小説「ノーサイド・ゲーム」かもしれませんね・・・・・・。
「ノーサイド・ゲーム」あらすじは、当「跳ぶ読書」では明記しません。ただし、「跳ぶPoint」(Reading Point)を「3行革命」でまとめると下記の通りです。
① 我々に必要なのは、変化する環境に対応し、そして常に逆境を乗り越える精神力なんだ。
② 人生は一度きりしかないんだよ。なのにいつも大切なものを見失う。
③ 『ノーサイド』の精神は日本ラグビーの御伽噺かも知れないが、いまのこの世界にこそ、それが必要だとは思わないか。
いつものように、いつもの書評小説で前回の続きから「ノーサイド・ゲーム」を紹介しましょう。
16-① 対応力と逆境を乗り越える精神力
うぉーー、鍛えたるぞ!
前話につづいて、体を鍛えるカメキチ。
なぜそんなことになったか・・・・
うぉー、仕事するぞぉ!
さて、ピョンサブローの方は仕事に燃えていた。
大得意先、トカゲ商事のデザインコンペが近づいてきたためである。
値段、もっともっと叩けないのか?
ビジュアルは初登場。彼こそは価格競争だけが手段だと信じて疑わない、営業部「スッポン課長」だ。ちなみにカメキチの上司である。
筆者のヤロー、またお金かけてイラスト発注したのか?
いや、筆者は貧乏だから無料アバターソフトで作ったそうなのよ・・・
エルよぉ、まさにその通りである・・・・・どうせ貧乏だから・・・そんなことはどうでもいい!
ピョンサブローは、スッポン課長のように価格競争で勝負するつもりはなかった。そう、勝負すべきは企画でありデザインであり、品質であり、機能であると信じていた。
最近、がんばってるようね!
さすがはピョン子。いつもながらよく見ている。
ピョンサブローは言った。
「そう、ライバルのイグアナデザインに絶対勝ってやるんだ。ちなみに、池井戸潤の「ノーサイド・ゲーム」にはこんなことが書いてあるんだ」
我々に必要なのは、変化する環境に対応し、そして常に逆境を乗り越える精神力なんだ。
池井戸潤「ノーサイド・ゲーム」
「オレ達に必要なのは対応力と精神力なんだ!」
体壊さないよう、がんばってね!
了解!
ピョン子に励まされ、ヤル気百倍の単純なピョンサブローだった・・・男なんて、そんなモンだよね・・・・・・
16-② 人生一度きり
ただいま!
おかえりなさい、遅かったのね。
ちなみに、ピョンサブローは妹のエルと一緒に住んでいる。家賃を浮かすためだ。ちなみに、会社には兄妹であるということはナイショにしている・・・・・・
「エル、最近は仕事が忙しいんだ。でも、とっても充実しているように感じて・・・いる。でも、これでいいのかと考えてしまうこともあるんだ」
「充実しているのなら、いいんじゃないの」
「池井戸潤の「ノーサイド・ゲーム」にはこんな一節があるんだ
人生は一度きりしかないんだよ。なのにいつも大切なものを見失う。君にとって大切なものはなに?それを考えたほうがいい。
池井戸潤「ノーサイド・ゲーム」
人生は一度きり。オレにとって、一番大切なものって何だろう・・・と時折考えてしまうんだ。」
「一番大切なものを常に探し続けて、行動するしかないんじゃないのかな・・・」
エルの一言がズシンと響いたピョンサブローだった。
16-③ ノーサイド・ゲームの意味
終わったーー!
トカゲ商事のデザインコンペ、無事に終了したのだ。
お疲れ! うまくいったんじゃないか?
「うん、先方からのその場での評判はよかったよ。まあ、やるだけやったって感じかな?」
「ラグビーで言うと、「ノーサイド」って段階だね。池井戸潤の「ノーサイド・ゲーム」にはこんな一節があるんだ。」
終わってしまえば勝者も敗者もない代わり、終わるまでは徹底的に勝利にこだわって技術と体力、知力の全てをつくす--その相反する現実を許容するだけの精神性こそ、ここに証明されているものだ。
池井戸潤「ノーサイド・ゲーム」
「ラグビーでは、ゲームが終了したらお互いの健闘を祝福するんだ。そう、これこそが『ノーサイド』の精神なんだ。池井戸先生はこんなことも言っているよ。」
『ノーサイド』の精神は日本ラグビーの御伽噺かも知れないが、いまのこの世界にこそ、それが必要だとは思わないか。
池井戸潤「ノーサイド・ゲーム」
「『ノーサイド・ゲーム』の意味って、この一文に凝縮されているかもね。この世界、あることが終了したらお互いの健闘をたたえ合う、いわば「潔さ」っていう美しさが必要かもしれないね」
カメキチ、いいこと言うじゃないか!今宵はオゴリかな?
まかせろ!5分後へ赤羽に行くぞぉ!
久々にレモンサワーのメガ盛りだっっ!
いそいそと、それでいてウキウキと帰る支度をするピョンサブロー。
ふと気付くと、ピョン子が横に立っていた。
あの・・・・・・お願いがあるんだけど・・・・・・
「えっ?・・・・・・」
その時のピョン子は、いつもの「女・花咲舞」のような力強さはなかった。
控えめな、古風な日本的な美・・・・・・何かを秘めていた。
ピョンサブローは、なぜかその姿に可憐な椿の花を感じていた・・・なぜか彼にもわからなかった。
何だい?
ピョンサブローは、ドキドキしながら答えた。
ドキドキしながら・・・・・・当然、次回に続く
まとめ・・・「ノーサイド・ゲーム」の意味
① 我々に必要なのは、変化する環境に対応し、そして常に逆境を乗り越える精神力なんだ。
② 人生は一度きりしかないんだよ。なのにいつも大切なものを見失う。
③ 『ノーサイド』の精神は日本ラグビーの御伽噺かも知れないが、いまのこの世界にこそ、それが必要だとは思わないか。
・『ノーサイド・ゲーム』、それはあることが終了したらお互いの健闘をたたえ合うこと。いわば「潔さ」っていう美しさが必要だということですね。でも、哀しいことにビジネス等は致命的な勝者と敗者が存在しているのも事実です。我々は目先の勝ち負けにこだわって、この「潔さ」を忘れているかもしれません。
・私は「人生一度きり、なのにいつも大切なものを見失う」ことを痛感してます。一度きりの人生です。大切なやりたいことや大事なこと、忘れていては後悔するだけですよね。後悔しないよう、精一杯生きていきたいです。
・テレビドラマも高視聴率でしたね。TBSさん、すっかり池井戸作品ドラマの常連さんになってきましたね。大歓迎です。DVDで久々に見たくなって来ました・・・
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「赤い椿」の花言葉って君は知っているかい
控えめな素晴らしさ・・・それがこの花の花言葉さ
君はまるで赤い椿
ひっそりと、それでいて見る者をハッと驚かせる何かがあるよね
その「何か」っていうのは・・・・・・
1-16-16話終了/1-17-17話には続かず、新章・2-2-18話に続く
*2022年7月22日初掲載